真空メディア誕生 第3回

真空メディア誕生

第3回『 余計なものをかき出すメディア 』

境目研究家・安田佳生と、『水は70℃で沸騰する』編集長である佐藤真空株式会社・佐藤嘉紀による真空メディア誕生秘話。「なぜ、お堅い真空機器メーカーがウェブマガジンを発行することになったのか」これを読めば見えてくる!?
yasuda
安田

で、いよいよ「メディアをつくろう」となったわけですけど。

sato

佐藤

はい。そこまでが長かったです。

yasuda

安田

真空ポンプの話の中で「かき出す」というのが、個人的にはすごく新鮮でした。

sato

佐藤

はい。「吸い出す」のではなく「かき出す」。

yasuda

安田

そう、そこに、すごくこだわってるなって。

sato

佐藤

なんのこだわりか、よく分からないんですけど(笑)。

yasuda

安田

でもこだわりがあるんですよね?

sato

佐藤

真空ポンプって、吸うイメージがあるじゃないですか。掃除機みたいに。

yasuda

安田

はい、あります。でも違うんですよね?

sato

佐藤

僕らがつくっている真空ポンプの動きは、吸ってためるのではなく、回転する部品が空気をかき出して、外に排出する。

yasuda

安田

でも初めて聞いた時、すっごい驚きました。空気ってかき出せるのかと。水ならイメージわくんですけど。

sato

佐藤

物理的にも「吸い出す」より「かき出す」という表現の方が当たってるんです。

yasuda

安田

そうなんですね。

sato

佐藤

かき出して、気体の中の分子の数を極限にもっていくわけです。

yasuda

安田

極限ってどれくらいなんですか?

sato

佐藤

人工的につくり出せる真空の限界は10のマイナス11乗Pa程度。宇宙空間と同じ環境を作れます。

yasuda

安田

宇宙と一緒!凄い。

sato

佐藤

ははは。

yasuda

安田

でもイメージできないですよ。分子なんていう小さなものをかき出せるのかって。

sato

佐藤

目に見えないですからね。分子は。

yasuda

安田

空気って言っていいんですかね?かき出すのは?酸素?

sato

佐藤

窒素も酸素も含めて空気中の分子。

yasuda

安田

空気って、地球上で生きていくには、絶対必要なものじゃないですか。

sato

佐藤

はい。ないと、あっという間に死んでしまいます。

yasuda

安田

だけど真空という、宇宙の標準においては、不要なもの。というか、不必要なもの。

sato

佐藤

通常は、そこにないものですね。

yasuda

安田

それを、をかき出しているという。

sato

佐藤

そうですね。

yasuda

安田

それを聞いたとき「私の研究と似ている」って思いました。

sato

佐藤

境目研究家でしたよね?

yasuda

安田

はい。とくに「常識と非常識」の境目を研究をしてるんですが、それと似てる。

sato

佐藤

似てますか?

yasuda

安田

人間って、知識とか常識をベースに物事を考えるんですけど。

sato

佐藤

まあ、そうですよね。知識が全くないと思考できませんからね。

yasuda

安田

はい。でも知識や常識があるがゆえに、発想が行き詰まるんですよ。その延長線上でしか考えられなくなる。

sato

佐藤

確かにそうですね。

yasuda

安田

そこが似てるんですよ。常識って空気みたいなものじゃないですか?

sato

佐藤

確かに。空気がないと生きていけないけど、モノづくりには空気が邪魔になることがあります。

yasuda

安田

真空ポンプは「空気をかき出す」わけですよね?

sato

佐藤

そうです。余計なものがない場所でモノづくりをするために、空気をかき出して宇宙空間と同じような真空状態にする。

yasuda

安田

人間の頭もよく似てると思うんですよ。

sato

佐藤

余計なものが詰まっていると?

yasuda

安田

はい。だから「頭の中にある、余計なものをかきだす」というテーマが、このメディアにはぴったりだと。

sato

佐藤

「頭の中を真空にする」というコンセプトは、非常に面白いと思ってます。

yasuda

安田

自分の中にも、そういうのありますか?頭の中から、かき出したいもの。

sato

佐藤

長い間この仕事をやっている中で身についた常識、この業界の当たり前。そういうものを除いて、今一度新鮮な目で見直す必要があると考えてます。

yasuda

安田

業界を超えて、人間の常識をかき出すマガジンにしたいですね。

sato

佐藤

難しいですけどね。それは地球と宇宙の関係もそうですし。

yasuda

安田

宇宙との関係?

sato

佐藤

はい。地球にいると、空気があることが当たり前になってしまうので。

yasuda

安田

なかなか宇宙人の気持ちには、なれないですよね。

sato

佐藤

やっぱりみんな「小さな掟」のなかで生きていて、小さな世界とか、常識のなかで考えてしまう。

 

yasuda

安田

「業界の枠を壊そう」っていう発想だと、逆に業界の枠を出ないかもしれませんね。

sato

佐藤

今あるものを壊すって普通ですもんね。手法としては。

yasuda

安田

酸素と同じで、地球上のルールや社会の常識とかって、地球から離れてみると単なる異物なのかもしれませんね。

sato

佐藤

変革して、壁を壊して、新しいものを作っていくというよりは、元々あるもの自体を「ちょっと違うんじゃないか」って疑問を持って、再考してみる。

yasuda

安田

本業で空気をかき出しているわけですから、是非このメディアでも「常識とか知識とか」をかき出して欲しいです。

sato

佐藤

そこにチャレンジしたいです。

yasuda

安田

でもある意味、結構リスキーなチャレンジですよね。「この会社何考えてるの?」って思われるかもしれない。社員さんにも。業界にも。

sato

佐藤

不安です(笑)

yasuda

安田

不安だけどやる?

sato

佐藤

正直言うと、期待と不安と半々です。でも僕らの仕事を考えたときに、納得できる部分もあるんですよ。

yasuda

安田

それはどういう?

sato

佐藤

僕らは「モノを作るのに最適な環境」をつくっているわけです。真空ポンプや真空装置をつかって。

yasuda

安田

はい。そうですよね。

sato

佐藤

こじつけかもしれないけれど、頭の中に「新しいアイデアとかブレイクスルーが生まれるために最適な環境」をつくってあげる。

yasuda

安田

なるほど。

sato

佐藤

別のかたちでの、モノづくりに最適な環境づくり。

yasuda

安田

こじつけの割には、綺麗に一致してますね。

sato

佐藤

はい(笑)

yasuda

安田

真空って「完全なる分子ゼロ」の状態じゃないんですよね?

sato

佐藤

はい、完全なゼロは存在しません。

yasuda

安田

頭の中も同じだと思うんですよ。

sato

佐藤

完全なゼロにはならないと?

yasuda

安田

そうなんですよ。たぶん、どんどんかき出していくと、本当に必要な思考のフレームだけが残る気がします。

sato

佐藤

物事を考える理想の状態が出来上がると。

yasuda

安田

そうです。からっぽではなく、真空状態。

sato

佐藤

まさに頭の真空状態ですね。うちがやるべきだって気がしてきました(笑)

~ 第4回へ続く ~

メディア誕生ストーリー
第1回「 きっかけはキーホルダー? 」
第2回「水は70℃で沸騰する」
第3回「余計なものをかきだすメディア」※本記事
第4回「曲がって見える直球」

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