世界を動かした非常識人列伝 第3話
ザ・ビートルズ(1957年〜1970年)
歴史上もっとも偉大だと呼ばれるロックバンド
それぞれに個性豊かなビートルズのメンバーたちのなかで、ドラム担当のリンゴ・スターはとてもユニークな存在です。ビートルズとして提供した作詞・作曲した曲数としては213曲中、リンゴが単独で作ったものは2曲しかありません。
しかし、リンゴ自身は「アルバムの中で僕が歌う曲が1曲あればそれで満足」と発言したり「ビートルズの人気投票なら他の3人にかなわないけど、2番目に好きなメンバーを選ぶ投票なら1位になれるかも」とおどけてみせる人格者でありました。
しかし、ビートルズが「ザ・ビートルズ」(通称ホワイトアルバム)を録音している頃、リンゴが激怒したことがあったそうです。「誰も僕のドラムを褒めないし、他の三人だけが仲良しなんじゃないのか!」と。でも、それを聞いたポールは、「いや、僕以外の君たちが仲良しなんだ」と答え、ジョンも「君たち三人は仲がいいじゃないか」と訴え、ジョージも「リンゴは他の二人と仲良しだろ」と諭したそうです。
つまり、みんなが創作を突き詰め、孤独になりすぎ、互いにメンバーを思いやる気持ちを忘れていたのかもしれません。
その後、ムードメーカーであり、人格者であったリンゴに甘えすぎていたことを三人のビートルズたちは反省しました。ポールはリンゴのドラムを褒め称え、ジョンは励ましの電報を打ち、ジョージはスタジオに花を飾ってリンゴを迎え入れたそうです。
もしかしたら、あんな才能豊かな個性をつなぎ止めていたリンゴこそ、常識にとらわれない人格者と言える存在だったのかもしれませんね。