#5 「世紀の天才画家は、世紀の寂しがり屋だった。」パブロ・ピカソ

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第5話

パブロ・ピカソ(1881年〜1973年)
キュビスムの創始者として知られる天才画家

油絵と素描を1万3500点、版画を10万点、挿絵を3万4000点、彫刻と陶器を300点。この膨大な作品をたった1人で残したのがピカソです。

ギネスブックにも掲載されるほどの多作な作家の制作意欲の一つは間違いなく女性。青の時代、ばら色の時代など、次々と作風を変えて作品を送り出していたピカソですが、作風が変わるきっかけも女性である場合が多かったのです。

しかし、ピカソの場合、女好きと言うよりも元来の寂しがり屋がことの発端だったのかもしれません。なにしろ、絵を描いている時以外は1人でいることを嫌い、誰かと一緒でなければ食事もしなかったという話もあるくらいです。

ただ、この天才。こと女性に関しては身勝手この上ない。自分が見初めた女性に入れ込むと、妻のことなど知らんぷり。その女性に飽きると、また別の女性に手を出してしまう。しかも、自分が付き合っていた女性同士が鉢合わせするように仕組んでみたり、出会った2人をけしかけて大げんかになるようにしてみたり。しかも、そんな大げんかを思い出して、晩年「あれは面白かった!」などと無責任に述懐してみたり。芸術の分野では類を見ない天才だった彼も、男としてはかなりの曲者だったようです。

ピカソの孫娘は、その著書の中で「いいお爺ちゃんになる方法を教えてあげれば良かった」という記述を残しています。そんな非常識なまでの寂しがり屋・ピカソの生涯の友だちは……。それは幼い頃から飼い続けてきた鳩だったそうです。妻さえも立ち入りを許されなかったアトリエですが、鳩だけはピカソの創作に立ち会うことを許されました。そう言えば、彼は娘の1人にパロマ=鳩という名前を付けました。

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