世界を動かした非常識人列伝 第26話
チャールズ・ダーウィン(1809年〜1882年)
進化論で自然科学史に名を残すイギリスの自然学者
進化論で知られるダーウィン。いまも動物関連のテレビ番組のタイトルになっていたりするほどです。しかし、そんなダーウィンも若い頃から周囲の期待を集めていたわけではありません。医者の一家に生まれついたことで、一度は大学で医学を学んだダーウィンですが、なにしろ血を見るのが大の苦手。しかも、この時代、麻酔がまだありませんから外科手術は執刀する側もされる側も、今以上の恐怖に打ち勝たなければなりませんでした。
自分には医者は無理だと悟ったダーウィン。学位を取らずに大学を辞め、昆虫採集に熱中していたそうです。いまで言うニートな生活を送る彼に、父は「虫を捕まえるしか能が無いのか」と呆れていました。自伝にも「周囲からは知的レベルが低いと思われていた」と記述したほどです。
しかし、恩師の紹介でイギリス海軍の測量船ビーグル号に乗船したことから運命は大きく変わります。1831年のことです。ビーグル号は南米へと向かい、ダーウィンはその途中で、さまざまな人々に会い、動物を見るだけではなく、鳥や動物を採取したのです。この中に、ガラパゴス諸島のゾウガメやイグアナがいました。生物が多様な進化を遂げている様子を詳細に記録したことで、のちにダーウィンは『種の起源』を書き表すことができたのです。
20代でガラパゴスに出会い、50歳の時に『種の起源』を出版したダーウィン。その内容があまりにこれまでの常識と違っていたことで、彼は何度も公表をためらったそうです。しかし、学者仲間や父、そして、愛妻に支えられ、ようやく日の目を見たダーウィンの研究成果は、自然科学の世界だけではなく、今日、多くの人々に知られるところとなりました。好奇心に素直であること。さらに、諦めず継続することで、ダーウィンは語り継がれるようになったのですね。