#39 「真の平和と友好を願った大統領」エイブラハム・リンカーン

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第39話

エイブラハム・リンカーン(1809年〜1865年)
第16代アメリカ合衆国大統領

アメリカの歴代の大統領の中でも、もっとも偉大な大統領の一人と言われるエイブラハム・リンカーン。彼は19世紀のアメリカがもっとも混乱している時期に大統領を務めました。「人民の、人民による、人民のための政治」というゲティスバーグ演説でも知られていますね。

アメリカの本土で行われた戦争のなかでも最悪のものとして語り継がれている南北戦争。リンカーンはその戦いで北側のリーダーでした。この戦いを簡単に説明すると、奴隷制度に反対する北部と継続しようとする南部との戦いでした。彼は「誰かが平等な権利を要求するまでもなく、アフリカ系アメリカ人は、アメリカ独立宣言で謳われている『生命、自由、および幸福の追求』の権利を手に入れるべきだ」と訴え戦いました。

南北戦争が始まって約1年後の1862年9月。アンティータムの戦いで北軍が勝利したとき、リンカーンは奴隷解放宣言を行いました。そして、すべての奴隷を解放すると宣言しただけではなく、憲法の修正も提案。リンカーンはその後、演劇の観劇中に拳銃によって暗殺されましたが、奴隷解放宣言を法の整備まで含めてしっかりと準備していたことで、アメリカは彼の念願であった真の平和と友好の国へと確かな一歩を進めたのです。

人々の平等と平和を願ったリンカーンの真摯な考え方はいったいどこから生まれたのでしょうか。さぞかし、優秀な成績で学業を修めたに違いない、と思われる方も多いはず。しかし、リンカーンは、地域を巡回していた教師からほんの僅かな基礎教育を受けたに過ぎません。その期間はトータルしても1年に満たなかったのではないかと言われています。

実は、リンカーンの実父と実母は無学な人だったと言います。しかし、両親の離婚後、迎え入れられた継母が読書を大切にしている人でした。この継母から読書の魅力を教えられたリンカーンは、自ら積極的に本を読み始め、様々な知識を得ていったそうです。「もし、木を切り倒すのに6時間与えられたなら、私は斧を研ぐのに4時間を費やすだろう」という言葉を遺したリンカーン。その思慮深さや、人と人とが肌の色に関係なく助け合う世界を夢見ることが出来たのは、幼い頃からじっくりと本を読み続けてきたからかもしれません。

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