#66 「早耳の栄作と呼ばれた総理大臣」佐藤栄作

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第66話

佐藤栄作(1901年〜1975年)
早耳の栄作と呼ばれた総理大臣

佐藤栄作ははっきりとした目鼻立ちと福々しい顔立ちから、「政界の団十郎」と呼ばれるほどの人気を誇りました。鉄道官僚として高度経済成長期の日本を舵取りし、郵政大臣、建設大臣、通産大臣などを歴任したあと、第61代内閣総理大臣に就任。その在任期間は1964年11月から1972年7月までに及び、歴代最長連続在任記録を保持しています。

佐藤は内閣総理大臣として、日韓基本条約の批准、非核三原則の提唱、沖縄返還を成功などで、その手腕を証明してみせました。これらの成功の要因は、佐藤の情報収集能力の高さと人心掌握術があるとされ、「人事の佐藤」「早耳の佐藤」と異名を取りました。

そんな佐藤にも弱点がありました。それは人並み以上の義侠心や涙もろさを持ち合わせたことかもしれません。それは人としての長所ではありましたが、時には冷徹な判断もしなければならない政治家にとってはウィークポイントでもあります。佐藤は、できる限りそうした感情を表に出さずに仕事を続けたそうです。だからこそ、佐藤は在任中「栄ちゃんと呼ばれたい」と発言したのかもしれません。

退陣表明の記者会見の時にも、関係が悪化していた新聞記者などマスコミに対して退席を要求。国民に直接語りかけたい、と一人、テレビカメラに向かって演説をしました。親米派としての仕事ぶりが揶揄されることも多かった佐藤ですが、こんなわかりやすい人柄が国民から愛され、長期政権となり、後のノーベル平和賞受賞に繋がったのかも知れません。

タイトルとURLをコピーしました