#72「従順ならざる唯一の日本人と呼ばれた男」白洲次郎

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第72話

白洲次郎(1902年〜1985年)
吉田内閣の側近として活躍した実業家

第二次大戦直後、GHQの占領下でGHQと渡り合った男。それが白洲次郎です。彼は吉田茂の側近として全面的な信頼を得てGHQ最高司令官総司令部との交渉にあたりました。彼は吉田茂とともに占領下の日本でGHQに激しく抵抗をした男でした。GHQからも「従順ならざる唯一の日本人」と呼ばれ、日本国民のために誇りを失うことなく主張すべき事は主張し続けました。

白洲次郎は優しい人でした。普段から「自分よりも目下の人間には親切にしろ」と言い聞かせ、ビルの清掃員やゴルフのキャディにも「ありがとう」という言葉を忘れませんでした。食事のためにレストランに立ち寄ったときにも、「まず、運転手に食べさせてやってくれ」と真っ先に運転手の食事を注文したそうです。そんな白洲次郎がもっとも大切にしたこと。それは「プリンシプル」でした。人としての原理原則に忠実であること。プリンシプルを大切にしたからこそ、白洲はGHQを相手にしても、また自分自身のボスであった吉田茂を相手にしても、一歩も引かず自分自身の考えをしっかりと伝えることができたのです。

強い者に強く、目下の者に優しいという白洲の態度もプリンシプルが根底にあったからこそ。時を超えて、白洲次郎という生き方がブームになり、回顧展が開かれ、書籍が出版されるのは、こんな混迷の時代にこそ、白洲次郎のような揺るがず動じない唯一無二の存在が待望されているからなのかもしれません。

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