#75「貧しい人々に人生を捧げた人」マザー・テレサ

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第75話

マザー・テレサ(1910年〜1997年)
修道会「神の愛の宣教者会」の創立者

マザー・テレサ、本名アグネス・ゴンジャ・ボヤジュは、1910年にコソボで生まれました。幼いころから聡明な子であったと言われ、18歳の時に修道女会に入りました。1929から1947年までの間、テレサはカルカッタの聖マリア学院で女学生に教えていました。しかし、そこで学問を学べるのは上流階級の子女たち。テレサは、学べない貧しいカルカッタの子供たちが気になって仕方がなかったのです。

そんなある日、テレサは汽車に乗っているときに「すべてを捨てて、もっと貧しい人の間で働きなさい」という啓示を受けたといいます。1948年、テレサはカルカッタのスラム街へと入り、ホームレスの子供たちに無料で勉強を教え始めました。やがて、その活動を知った教え子たちがボランティアとして集まり、教会などからも寄付が寄せられるようになりました。それを資金として、1950年、テレサは「神の愛の宣教者会」を創立します。

テレサを中心とした「神の愛の宣教者会」は世界的な規模で活動を開始します。彼女の活動が広く知られるようになったのは1969年に制作されたドキュメンタリー映画『すばらしいことを神様のために』と同名の書籍の出版によってでした。世界が彼女の活動を評価し、1971年「ヨハネ23世教皇平和賞」を受賞、他にもケネディ賞、シュバイツアー賞、米国大統領自由勲章、アメリカ名誉市民、議会名誉黄金勲章などを次々に受賞し、1979年にはノーベル平和賞を受賞するに至りました。

しかし、テレサはノーベル平和賞の授賞式にも特別な正装はしませんでした。いつもと同じ粗末なサリーとサンダルで登場。賞金はすべてカルカッタの貧しい人々のために使われました。さらに「私のための晩餐会は不要です。その費用はどうか貧しい人々のためにお使いください」と述べました。

マザー・テレサの平和のための運動は、何か特別なことを求めるものではありませんでした。自分自身にできることを出来る範囲で行う。それがテレサの根本でした。ノーベル平和賞を受賞した時に、あるインタビュアーが質問しました。「世界平和のために私たちはどんなことをしたらいいですか?」と。テレサはこう答えたそうです。「家に帰って家族を愛してあげてください」と。

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