#80「中華人民共和国を建国した独裁者」毛沢東

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第80話

毛沢東(1893年〜1976年)
中華人民共和国の政治家

社会主義国家、中華人民共和国の偉人として毛沢東を外すことはできません。なにしろ、10代で第一回共産党大会に創立メンバーとして出席した人物。さらに、蒋介石率いる国民党軍を中国本土から追い出し、1949年に中華人民共和国を建国したのですから。毛沢東は初代国家主席となり、現在も中国では、この時の政治体制が続いています。

しかし、毛沢東は良き指導者として歴史に名前を残しているわけではありません。世界最悪の独裁者として、スターリン、ヒトラーと名前を連ねられています。多くの独裁者がそうですが、人生の前半は多くの勝算に彩られています。謙虚に人の話を聞き、バランス感覚の優れた政治手腕を発揮する。そうすることで信頼を得ることが出来、国家を掌握することができたのです。

ただ、権力を手にした瞬間、彼らは周囲に対して聞く耳を持たなくなります。毛沢東も例外ではありませんでした。建国当初は農民や労働者からも多くの支持を得ていた毛沢東ですが、1952年に社会主義国家へと大きく舵を取ります。ここで反発した国民や党の幹部たちを毛沢東は容赦なく粛正の対象としました。

毛沢東は恐ろしいほどに戦略家でした。社会主義国家を作り上げるために、「百花斉放、百家争鳴」運動を開始します。これは、党の内外を問わず、みんなで論争しよう。あえて、批判も投げかけてほしい、という運動です。しかし、この時、批判を寄せた学者や文化人たちはのちに右派とのレッテルを貼られ、市民権を剥奪され、強制労働を強いられたのです。そんな55万人の右派分子の内、30万人が死んだと言われています。

こうして、不満分子を一挙に消し去り、毛沢東は思うがままに国を掌握していったのです。歴史に「もしも」はないと言いますが、毛沢東がこれだけの策士ぶりをもっと国民のために発揮していたらと思うと、歴史というものの不思議さ、苛烈さを感じざるを得ません。

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