#86「頭脳プレイで躍進した恐怖の大王」チンギス・カン

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第86話

チンギス・カン(1162年〜1227年/諸説あり)
モンゴル帝国の初代皇帝

チンギス・カンはモンゴル帝国の初代皇帝です。1200年代、モンゴルは大小様々な遊牧民部族が互いに抗争を繰り返していました。チンギス・カンは中国・中央アジア・イラン・東ヨーロッパなどを次々に征服・統一。最終的には当時の世界人口の半分以上にのぼる地域を統治し、モンゴル帝国を築き上げたのです。モンゴル帝国は人類史上、類を見ない最大の世界帝国であり、現在でもモンゴルではチンギス・カンは英雄と讃えられています。

当時、快進撃を続けるチンギス・カンに対して、周辺の国々では「恐怖の大魔王がやってくる」という噂に戦々恐々としていたそうです。それは、チンギス・カンが言葉によるイメージの刷り込みが、人々を恐怖に陥れるということをよく知っていたからです。だからこそ彼は、「モンゴル帝国の男たちは、敵を征服し、敵の馬や所有物や愛する者たちを奪うことを最大の喜びとしている」と語り、その言葉を伝聞させました。

チンギス・カンやモンゴル兵が残虐で暴力的であったというイメージは、このような言葉が遺されていることでより一層強く印象付けられています。しかし、チンギス・カンは同時にユーラシア大陸全体を巨大なひとつの経済圏としてまとめ上げました。

巨大な帝国を築き、統治したチンギス・カンですが、その統治は生活の保障はしないかわりに、干渉もしませんでした。様々な宗教、様々な人種、様々な言語などをすべて認め、それぞれの地域に自治を委ねるという大らかなものだったと言われています。そのため、チンギス・カンの死後、次第に異常気象や地震、洪水、疫病などで少しずつ経済が破綻すると、帝国はゆっくりと解体していきました。

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