#91「成功と挫折を繰り返す映画作家」フランシス・フォード・コッポラ

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第91話

フランシス・フォード・コッポラ(1939年〜)
アメリカの映画監督

いまやアメリカを代表する映画監督となったフランシス・フォード・コッポラ。『ゴッド・ファーザー』や『地獄の黙示録』などの作品で、アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、カンヌ映画祭などで様々な賞を受賞しています。

コッポラは1960年代にロジャー・コーマンのもとで低予算映画の監督としてキャリアをスタートさせました。また、同時期に『雨のニューオリンズ』『パリは燃えているか』などの脚本家としても活躍。『パットン大戦車軍団』では早くもアカデミー脚本賞を受賞しています。

そんな彼が自分の映画会社、アメリカン・ゾエトロープ社を設立したのは1969年。ワーナー・ブラザーズと7本の映画を制作するという契約を結ぶのですが、第1作目の作品であった『THX1138』がワーナー幹部から酷評され契約を破棄されてしまいます。設立したばかりでいきなりピンチを迎えるわけですが、コッポラを知れば知るほど、ごく普通の成り行きのように思えるから不思議。なにしろコッポラの人生は、ピンチとチャンスが交互にやってくるジェットコースターのような人生なのですから。

会社設立後の大ピンチの後にやってきたチャンスが、『ゴッド・ファーザー』の監督オファーでした。ご存じのように『ゴッド・ファーザー』は大ヒットとなり、続編も作られ、アカデミー作品賞・監督賞を初めとする数々の賞を受賞。コッポラの代表作となったのです。この成功を受け、次にコッポラが着手したのは『地獄の黙示録』でした。しかし、この作品の制作は苦難を極めました。当初17週間で終わるはずだったロケは61週間になり、予算も約35億円だったものが約90億円にまでふくらみました。コッポラは様々なタイプの作品を監督しているため、いわゆる職業監督とみなされることが多いのですが、実際には自分自身の自由な表現を最優先に考える作家タイプの監督と言えるでしょう。『地獄の黙示録』の予算も半分は個人的な借金だったと言います。

しかし、紆余曲折あった『地獄の黙示録』も世界的に大ヒットし、制作費も無事に回収することができたのです。もちろん、成功し資金を手に入れたあと、巨費を投じた『ワン・フロム・ザ・ハート』が興行的に大失敗し、再び自身の制作会社が人出に渡ってしまうのですが……。

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