#97「サモスの賢人と呼ばれた数学者」ピタゴラス

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第97話

ピタゴラス(BC582年〜BC496年)
古代ギリシャの数学者・哲学者

ピタゴラスは『ピタゴラスの定理』、つまり『三平方の定理』を発見したことで有名な数学者です。しかも、それが紀元前の話だというのですから驚きますね。ピタゴラスは古代ギリシャ近くのサモス島で生まれ、サモスの賢者と呼ばれました。ただし、ただの賢者ではなかったようです。

ピタゴラスは数学者、賢者と呼ばれるよりも変人と呼ばれることのほうが多い人物。なにしろ、ピタゴラス教団という宗教団体を作っていたというのです。ピタゴラスはここに優秀な弟子を入会させて、数学の理論などを研究させていました。しかも、その理論を外部に漏らすことを禁じ、その禁を破った者を海の底に沈めるほどの徹底ぶりだったそうです。

秘密主義の教団だったため、多くが謎のままなのですが、もしかしたら、数学という学問そのものが当時の世の中では一つの宗教に等しいほどに謎めいた部分があったのかもしれません。ピタゴラスは自分自身にも不思議な力があることを誇示するために、瞬間移動の技まで使ったと言います。もちろん、本当に瞬間移動ができるはずはありません。弟子たちに内緒でトンネルを掘り、そこを移動して瞬間移動と称していたのではないかと言われています。

現在にまで通用する数学の定理を発見するほどの天才であったにも関わらず、ある意味自己顕示欲の塊のようだったピタゴラス。ある時、弟子のヒッパソスがピタゴラスの定理のなかに「1:1:√2」が存在しないことに気付きました。しかし、ピタゴラスは数字以外の「√(ルート)」の存在を認めず、ヒッパソスを溺死させてしまったのです。それが自分自身を守るための悪行であったのか、それとも、ただただ数字だけを愛した結果の過ちだったのか。今となってはすべてが謎のままですね。

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