#103「時空を超越した物理学者」スティーヴン・ホーキング

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第103話

スティーヴン・ホーキング(1942年〜2018年)
イギリスの理論物理学者

ホーキング博士として知られるスティーブン・ホーキングは、1942年イギリスで生まれました。彼を一躍有名にしたのはブラックホールに関する研究。1963年にブラックホールの特異点定理について発表し、その後もブラックホールについての研究を重ねました。

物理学や天体について研究している学者は、それこそ星の数ほどいますが、その中でもホーキング博士が広く注目され人気を集めたのは、やはり彼の人柄があったからではないでしょうか。彼には自分自身の宇宙論を分かりやすく伝えるという才能がありました。『ホーキング、宇宙を語る』などの著書は専門家ではなく一般人向けに書かれ、それがヒットしたことでブラックホールという言葉は私たちにもお馴染みの言葉となったのです。

もちろん、彼がALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症していたことも、彼が有名になったことと無縁ではなかったでしょう。車椅子に乗り、懸命に自らの理論を伝えようとした姿に多くの人々は魅せられました。20代で発症したALSは、通常は数年で死に至ると言われていますが、ホーキング博士の場合、途中で進行が弱まり76歳で亡くなるまで旺盛な研究活動を続けることができました。

死に至る病は、彼の人生をある程度制約したことに間違いはありません。しかし、彼の可能性や生きる喜びを奪い去るには至りませんでした。ホーキング博士はアカデミックな研究活動を続けながらも、SFドラマ『スター・トレック』にゲスト出演し、タイムトラベルの実験を行い、世界中を旅して宇宙を語り、人生を楽しみました。

有名になった彼は、「サングラスをかけてもカツラをかぶってもダメだ。車椅子で僕だとバレてしまう」とジョークを飛ばし、自分の人生については「寿命を全うできない可能性と隣り合わせの人生だった。死は怖くないが、早く死にたいとは思わない。まだやっておきたいことが山ほどある」と語り、人生を謳歌したのです。

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