#114「アメリカ合衆国の建国の父と呼ばれた男」ジョージ・ワシントン

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第114話

ジョージ・ワシントン(1732年〜1799年)
アメリカ合衆国初代大統領

ジョージ・ワシントンはアメリカの歴代大統領の中でも最も高い知名度を誇っている人物ではないでしょうか。なにしろ、アメリカ合衆国の初代大統領です。その人気ぶりは伝記が書かれる度に新しい美談が加えられていくほど。例えば、教科書などにも引用された「桜の木のエピソード」も創作の可能性が高いそうです。桜の木が伐られていることを父にとがめられたワシントンが、正直に自分が伐ったと話したところ父親がほめてくれた、というあのお話が創作だったなんて驚きですね。

しかし、創作まで加えて、なぜワシントンを「善人」にしなければならないのでしょう。それは、ワシントンに対して、当時の人々が崇拝にも似た気持ちを持っていたからです。ジョージ・ワシントンとは、どんな人物だったのか。彼は、実力で豊かな人生を勝ち取った人でした。兄弟が多く、父親から受け継いだ地所はわずかでしたが、測量を学び、堅実にお金をため、目上の人に引き立てられながら実力を磨いてきました。

また、大統領に満場一致で選出されたときにも、高額な年棒を辞退するなど、謙虚な人柄を見せる高い人望を誇りました。つまり、ジョージ・ワシントンこそ古き良きアメリカを体現するアメリカン・ドリームを果たした人物として認知されていたのです。もちろん、そこには奴隷制度やアメリカ先住民族にたいする虐殺など、負の側面も存在します。ワシントンは晩年、個人的には奴隷制度を批判していたそうです。しかし、自分自身の奴隷を解放したのは死後の遺言によってでした。

もしかしたら、アメリカ合衆国という国が、民主主義国家のリーダーとして君臨しながら、定期的にニュースになるような差別問題を内包していることの根源が、すでにワシントンの時代に発芽していたのかもしれませんね。

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