#129「語り継がれる空手バカ一代」大山倍達

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第129話

大山倍達(1923年〜1994年)
極真空手の創設者であり指導者

大山倍達は実際に突きや蹴りを当てるフルコンタクト空手を生み出した人物であり、極真空手を創設し、日本の空手、格闘技の普及に尽力した指導者です。彼が若く血気盛んな時期はちょうど日本の敗戦後の時代。すべてが混乱しているなかで、大山は力によって頭角を現していきました。

その頃のエピソードには事欠かない大山ですが、漫画『空手バカ一代』の主人公としても登場するくらいですから、虚実取り混ぜて大山倍達という大きなイメージが構築されてしまっているようです。しかし、火のないところに煙は立ちません。巨大な牛と戦い、素手で倒したり、山の中にこもって修行を続けたり、10円玉を指先で曲げたり、ビールの瓶を手刀でたたき割ったり。今なお伝説として語られている逸話は枚挙に暇がありません。

大山は十代の頃に空手に出会い、1947年には空手道選手権で優勝を果たします。その後、数々の武道家と交流し、彼自身も様々な武道に精通していくのです。大山が自身の道場を作ったのは1960年頃。1964年には国際空手道連盟極真会館を設立しました。直接、突きや蹴りを相手の身体に当てていく、いわゆるフルコンタクト空手の発祥です。つまり、大山倍達という存在があったからこそ、日本の空手は大きくスケールアップし、さらに格闘技という新たなカテゴリーを生み出していったのだと思います。

今なお語り継がれる大山倍達ですが、道場経営などの実務はからっきしだったようで、彼が亡くなった後、たくさんの財産も遺しましたが、法人化されていなかったことで、相続などについての争いが始まり、極真空手は分裂、裁判沙汰となってしまいました。優れた指導者、優れた空手家が、必ずしも優れた経営者とは限らない。そんなことを身をもって伝えているようです。

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