#163「電気自動車のパワー半導体に欠かせない真空技術」

真空にヒントあり

自動車を取り巻く環境は激変しています。日本でガソリンと電気の両方が使えるハイブリッド自動車が発売されたのが1997年。「21世紀に間に合いました」というキャッチコピーの通り、環境に優しい未来の車というイメージで登場しました。しかし、すでにハイブリッドではなく電気だけで走る自動車が登場し、ハンドル操作をしなくても車を走らせることができる自動運転も実用化の目前です。

こうなると、自動車はすでに電気製品。エンジンではなくモーター制御で走るようになりました。そして、そのモーターを制御するパワー半導体を製造するためには、真空技術が欠かせないのです。

パワー半導体は大きな車を動かすためのものなので、高い電圧、大きな電流に耐える必要があります。また、大きな電力を扱うため、高温になりやすく故障しやすいという課題もクリアしなければなりません。そこで、半導体製造を行う企業は省エネ化・省電力化のニーズに応えたパワー半導体の開発に注力しているのです。

しかし、パワー半導体の構造は、これまでの半導体と基本は同じです。つまり、シリコンや炭化シリコンを使用して、そこに膜形成と剥離を行いながら素子を形成していきます。さらに、その形成に真空技術が駆使されているのも同じ。つまり、電気自動車を快適に安全に効率よく走らせるためのパワー半導体にも真空技術が欠かせない、というわけです。

163「電気自動車のパワー半導体に欠かせない真空技術」
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