#164「映画は戦場だ!と叫んだ男」サミュエル・フラー

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第164話

サミュエル・フラー(1912年〜1997年)
アメリカの映画監督

サミュエル・フラーはアメリカの映画監督ですが、ちょっと変わった経歴を持っていました。17歳の頃から新聞社で犯罪レポートを書き、ゴーストライターとして小説を書いたり脚本を書いたりしていました。第二次世界大戦に従軍し、勲章を得たこともあります。そんなサミュエル・フラーが監督デビューしたのは1949年。『地獄への挑戦』という映画ですが、彼はこれをたった10日間で撮影したそうです。

以来、フラーは自分自身の裏社会での経験や戦争中の体験を映画化。独立プロダクションの低予算で映画を作り続けました。彼にとって映画は自分自身の戦いの場所でした。仕事としてお金が稼げればいいという「仕事」ではなく、人生そのものだったようです。

そんな彼の作品はアメリカでは低予算のB級映画とみなされ、フラー自身もB級監督だと評価されていました。しかし、ヨーロッパを中心に次第に彼の作家性を高く評価する気運が生まれ、晩年にはアメリカでも再評価されました。

フランス・ヌーベル・ヴァーグも巨匠ゴダールの『気狂いピエロ』に出演したのですが、この時、映画の中で「映画とは何か?」と質問されると、彼はこう答えました。「映画とは戦場だ。愛、憎しみ、アクション、バイオレンス、そして死。つまり、エモーションだ」と。ちなみに、この常軌を逸したような情熱的な映画監督は、映画の撮影時に「アクション!」と叫ぶと同時にピストルをぶっ放したというエピソードが語り継がれています。

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