#165「電気自動車はガソリン車よりも先に登場した?」

真空にヒントあり

電気自動車もすっかり暮らしに溶け込んでいますね。環境にも優しく、サステナブルな乗り物としても大きな期待が寄せられています。でも、みなさんはガソリン車よりも電気自動車が先に登場したということをご存じですか?

実は世界で最初の自動車の実験にはエンジンではなくモーターが搭載されていました。時は1827年、場所はハンガリー。イェドリク・アーニョシュという人物が実験を行ったという記録があります。また、時をほぼ同じくしてオランダ、アメリカでも鉄亜鉛電池などのバッテリーを使用したモータ駆動の自動車の走行実験が行われました。ドイツで内燃エンジンによる三輪自動車が発明されたのが1885年ですから、歴史的には電気自動車のほうが先輩ということになります。しかし、バッテリーの小型化や大容量化よりもガソリン車の進歩が速かったのでしょう。時代は電気自動車を忘れることになります。

しかし、環境保護の観点から再び電気自動車に日が当たり、いまや電気自動車は自動車の主役になりつつあるのです。その背景には高性能バッテリーの存在が大きく貢献しています。なかでもニッケル水素電池は比較的安価で早くから実用化されました。このニッケル水素電池の製造には真空技術が活かされています。ニッケル水素電池にはニッケル水素合金が必要なのですが、その製造に真空溶解炉が用いられているのです。

環境保護を推進し、人の暮らしに優しい乗り物として注目を集める電気自動車。この長い歴史を持ちながらも新しい乗り物に真空が貢献しているというのは、私たちの暮らしに絶えず大きな役割を果たしている真空という不思議な存在を再認識させてくれますね。

165「電気自動車はガソリン車よりも先に登場した?」
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