#167「イングランドの母として、太陽として生きた人」エリザベス1世

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第167話

エリザベス1世(1533年〜1603年)
イングランドとアイルランドの女王

エリザベス1世は1558年、25歳の時にイングランド王国・アイルランド王国の女王として即位しました。彼女が即位した当時、まだイングランドは小さな島々が集まった小国。それを世界の大英帝国にまで反映させたエリザベス1世は、いまなおイギリス国民から尊敬される存在です。

エリザベス1世が即位した頃、イギリスは小国ではありましたが、宗教的な対立や貿易の利権争いで、不安定な状態が続いていました。そこで、周辺の国々はエリザベス1世との政略結婚を画策します。しかし、エリザベス1世は決して結婚を受けれることはありませんでした。1559年の議会で、彼女はこう言い放ちました。「私は、すでにイングランドと結婚しています。イングランドという夫を持っているのです」と。

議会での言葉通り、エリザベス1世は生涯結婚することはありませんでした。そして、彼女は次々とイングランドのために采配をふるいます。その中で最も大きな功績だと言われているのはスペイン無敵艦隊の撃破。1588年に当時、「沈まぬ太陽」と言われたスペインにアルマダの海戦で勝利すると、イングランドは世界制覇という海原に乗り出します。

その後、宗教戦争による国の分断を中道の立場で収め、東インド会社設立によって経済的にもイングランドを繁栄させました。イングランドはエリザベス朝と呼ばれ、ヨーロッパの小国から大英帝国へ、世界の覇者へと登りつめていくのです。

1601年、エリザベス1世が亡くなる少し前、彼女は「黄金のスピーチ」を行いました。それは独占特許状を撤廃するという内容でした。これは貿易の独占権を報奨として国民に与えたもの。しかし、悪用するものが増え、高値で売り買いされ、国民の生活を圧迫していました。エリザベス1世は「国民の愛情とともに統治できたことが、私の栄誉である」と語り、独占特許状を撤廃したのです。

いつも国民の生活を第一に考え、自分自身の幸せは国民の幸せにこそある。そう考えるとエリザベス1世がいたからこそ、イングランドは誇り高き国として大きな発展を遂げたのでしょう。

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