#169「毅然とした美しさで世界中に愛された女優」オードリー・ヘップバーン

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第169話

オードリー・ヘップバーン(1929年〜1993年)
イギリスの女優

世界中がその愛くるしい笑顔を愛したオードリー・ヘップバーン。彼女はベルギーで生まれました。5歳の時にバレエを学ぶためにイギリスへ。しかし、10歳の時にはナチスドイツの侵略により、オランダへ移住することになりました。オランダでバレリーナとなったオードリーは、反ドイツのレジスタンス活動のためにバレエの公演を行っては資金稼ぎに協力していたそうです。

戦時中にはレジスタンスであった伯父が目の前で射殺されたり、ユダヤ人の子どもたちが強制収容所に連行される様子を目の当たりにしたそうです。そんな経験が後のユニセフへの貢献につながっているのでしょう。オードリーは、ただ輝かしい女優としてのキャリアを誇るだけではなく、社会に貢献した人物として多くの人々に記憶されています。

彼女のハリウッドデビュー作が『ローマの休日』だったのは、もしかしたら運命だったのかもしれません。実は『ローマの休日』はハリウッドに吹き荒れた赤狩り(反共産主義)によって生まれた作品といっても過言ではないからです。脚本は共産主義者と烙印を押されたダルトン・トランボ。監督のウィリアム・ワイラーもそのことを知った上で、自由に撮影できるようにとローマでのロケを強行したと言われています。

また、この作品でのオードリーへの演出は厳しかったそうです。オードリーができるまで何度も何度もテイクを重ねるウィリアム・ワイラー監督。映画の終盤、秘密を共有する新聞記者と女王のやりとりは、ハリウッドに吹き荒れる赤狩りの嵐に対して、決して仲間を裏切らないというウィリアム・ワイラーの、そして、参加した他のスタッフやキャストの誓いであったと言われています。そう思いながら、この映画のオードリー・ヘップバーンの演技を見返すと、その凜とした立ち姿が、彼女だからこそなし得た役柄に見えてきます。

タイトルとURLをコピーしました