#194「大空からアメリカを見つめた飛行家」チャールズ・リンドバーグ

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第194話

チャールズ・リンドバーグ(1902〜1974)
ニューヨーク〜パリを飛んだ飛行家

リンドバーグはもともと曲芸飛行士でした。22歳で陸軍航空隊の訓練を受けると、民間航空会社のパイロットとなり、有名な大西洋横断飛行に出発したのは25歳のときでした。リンドバーグの乗った『スピリット・オブ・セントルイス号』は、ニューヨークのルーズベルトを出発し、約33時間32分後にパリのル・ブルジェへ到着。一躍、アメリカの国民的な英雄となったのです。大西洋横断飛行を書き綴った『翼よ、あれがパリの灯だ』はベストセラーになりピューリツァー賞を受賞。映画化もされました。

しかし、世界の空を飛ぶという大きな夢を果たしたリンドバーグの人生は、その後、数奇な運命に巻き込まれていきます。大西洋横断飛行の成功から数年。リンドバーグは結婚し、子宝にも恵まれました。しかし、まだ2歳にも満たなかった愛児が誘拐され殺害されてしまいます。アメリカではセンセーショナルな報道がなされ、リンドバーグの自作自演と言い出すメディアもあったそうです。

また、第二次世界大戦が始まる直前、リンドバーグはアメリカ軍の要請でドイツに出かけ、ドイツ空軍への視察も行っています。ここからリンドバーグはドイツ軍と親密な関係が生まれ、世界大戦勃発後はしばしばルーズベルト大統領と敵対する立場へと追い込まれます。

ただ、空を飛ぶことが大好きだった青年が飛ぶことで偉業を成し遂げ、同時に偉業を成し遂げたことで不幸な事件に巻き込まれたり、政治的な抗争の矢面に立たされたり。もしも、子どもが不幸な目にあわなかったり、もしも戦争が起きていなければ、という「if」を考えるのは意味のないことかもしれません。しかし、それでもリンドバーグがずっと飛び続けるだけの人生を送れてたら、と考えずにはいられません。

ちなみに、リンドバーグの孫、エリック・リンドバーグは、大西洋単独無着陸飛行75周年である2002年に『ニュー・スピリット・オブ・セントルイス号』で大西洋単独無着陸飛行を成功させています。大空から、リンドバーグも孫の成功を喜んでいたことでしょうね。

タイトルとURLをコピーしました