#196「アメリカ経済を世界恐慌から救った大統領」フランクリン・ルーズベルト

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第196話

フランクリン・ルーズベルト(1882〜1945)
米国の第32代大統領

ルーズベルトはアメリカの政治史上で唯一、4選された大統領です。それだけ、多くの国民に信頼された理由は主に経済対策によるものでした。特に世界恐慌に対して、具体的な施策を打ち出し実行したことで、アメリカ経済を恐慌から救ったと評価されています。

しかし、ルーズベルトへの評価は二分していて、一方でリーダシップを発揮した大統領として高く評価され、もう一方でマイノリティに対する差別意識が消えない行き当たりばったりな大統領であったという厳しい評価もありました。

実際のところ、ルーズベルトという人はどういう人だったのでしょう。彼の人となりを知るには、39歳で患ったというポリオを外すわけにはいきません。何しろ、彼はその後遺症で下半身が麻痺してしまい、車椅子での生活を余儀なくされたのです。しかし、彼は演説の際などは植木などをうまく配置させ、足が不自由であったことを国民に知られないように工夫していました。そのため、当時の国民の多くはルーズベルトが身体に障害を抱えていたことをほとんど知らなかったそうです。

このように、ルーズベルトは自分のイメージを壊さないようにすることに注力しました。そのおかげで、快活で明るいイメージを保ち、リーダーシップを持った大統領という印象を強く残したのかもしれません。しかし、同時にそれは「大統領はこうあらねばならない」という強い思い込みをも感じさせます。そのことは、彼が黒人解放運動に理解を示さなかったことと無関係ではなかったような気がします。それだけ、新しい価値観を認めることに恐怖心があったのかもしれません。

ちなみにルーズベルトは第二次大戦で戦った日本に対しても強い嫌悪感を持っていたと言います。ただ、同時にジョン万次郎に憧れていたという話もあります。ジョン万次郎と言えば、船が難破し無人島で生きながらえたあと、アメリカの捕鯨船に助けられアメリカに渡った人物。実はそんな万次郎を救った捕鯨船に、ルーズベルトの母方の家系が出資をしていたそうです。その関係から、ルーズベルトは幼い頃からジョン万次郎の話を度々聞かされていたそうです。

大統領になってからの日本への嫌悪を隠さない発言は、幼い頃の万次郎への憧れの裏返しなのか。今となってはわかりようもありません。ただ、「ルーズベルトがもう少し長生きしていれば、原爆は投下しなかったのではないか」という人も少なからずいるようです。

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