#198「出演するたび新しい顔を見せる名優」ロバート・デ・ニーロ

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第198話

ロバート・デ・ニーロ(1943〜)
アメリカの俳優・映画監督

ロバート・デ・ニーロと言えば、映画『ゴッド・ファーザーPART2』『タクシードライバー』で頭角を現し、現在まで第一線を走る続けるアメリカの名優です。米国アカデミー賞主演男優賞、助演男優賞を始め世界各国の映画賞を数多く受賞しています。デ・ニーロがここまで高く評価されているのは、常識では考えられないほどに役作りに打ち込んでいるからです。

『ゴッド・ファーザーPART2』の出演が決まったデ・ニーロは、実際にシチリアに移り住み、シチリア訛りのイタリア語をマスターしたそうです。さらに、PARTⅠで同じ役を演じたマーロン・ブランドのしゃがれ声にあわせるため、完璧に話し方を体得。その役作りと演技力が認められ、デ・ニーロは初めての大きな役でアカデミー賞助演男優賞を受賞しました。

他にも、『タクシードライバー』に出演する際には、ニューヨークで実際にタクシードライバーとして働いたり、『ディア・ハンター』では物語の舞台となったピッツバーグで数ヵ月間暮らしました。ボクサー役の『レイジング・ブル』では引退後の姿を表現するために20キロも体重を増やし、『アンタッチャブル』のカポネ役では髪をそり上げ、『エグザイル』ではホームレス役を会得するために、ホームレス施設に潜入したそうです。

デ・ニーロの狂気の役作りは「デ・ニーロ・アプローチ」と呼ばれ、他の俳優たちにも強く影響を与えています。しかし、タクシーの運転をすれば誰もが『タクシードライバー』を名作にできるわけではありません。デ・ニーロ本人も「私が体重を増やしたり、役柄の仕事をしてみたりするのは、その役にリアリティを持たしたいからやっているだけ」と語っています。その謙虚さが自身の役作りをさらに深め名優を名優たらしめているのかもしれませんね。

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