#206「RGBと呼ばれ、尊敬された女性のたちのリーダー。」ルース・ベイダー・ギンズバーグ

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第206話

ルース・ベイダー・ギンズバーグ(1933〜2020)
アメリカ合衆国の法律家

ルース・ベイダー・ギンズバーグは、その頭文字を取って『RGB』と親しみと敬意をもって呼ばれました。アメリカで最も尊敬される女性最高裁判事として、2020年に87歳で亡くなるまで走り続けた人でした。彼女の人生は映画にもなったのでご存じの方も多いかもしれません。彼女は生涯を通じて、女性の地位向上のために心血を注ぎました。

自らも女性であることで辛い思いをしてきたギンズバーグはドキュメンタリー映画の中で「男性のみなさん!私たちを踏みつけるその足をどけて!」と力強く諭しました。まさに、この言葉通り、ギンズバーグの人生は戦いとの連続だったのです。

彼女の戦いはまず貧しさとの闘いでした。決して裕福とは言えない家庭に生まれた彼女はそれでも学問を究め、1956年にハーバード大学ロースクールに入学しました。しかし、この時、新入生歓迎会の席で学部長が発した言葉に衝撃を受けます。「男子の席を奪って、君が入学した理由を話してくれ」。確かに新入生500人の内、女性はわずか9人でした。大学には女子トイレさえなかったと言います。

しかし、ギンズバーグは状況にめげることなく、1993年、史上二人目の女性最高裁判事に指名されたのです。男子大学の女性排除や男女の賃金格差など、誰もが平等に生きることが出来るよう、彼女は尽力します。しかし、ここでも男性からの揶揄や嫌がらせを請けたと言います。「同僚の男性判事たちは、性差別が存在していることすら認識していなかった。私は彼らに幼稚園の先生になったつもりで説き続けました」と後に語っています。

自ら偏見や差別に苦労したギンズバーグだからこそ、自分自身の仕事に誇りと使命を感じていたのでしょう。トランプ大統領が就任する前に、失言によって辞任を問われたときには、毅然とこう言い返しました。「私の仕事はまだ終わっていない。辞める気はありません」と。2020年9月、87歳で亡くなるまで、生涯、現役の最高裁判事としてギンズバーグは人々のために戦い続けました。

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