#209「ウェル風に逆らって生きた女性社会活動家」ドロシー・デイ

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第209話

ドロシー・デイ(1897〜1980)
アメリカの社会活動家

ニューヨークのブルックリンに生まれたドロシー・デイは著名な社会活動家です。特に女性の権利拡張主義という立場では過激な活動を繰り返し、何度も逮捕拘留されました。彼女が最後に逮捕され、刑務所に収容されたのは1973年。彼女が76歳のときでした。

ドロシーが社会運動に興味をもった最初のきっかけは、1906年に起こったサンフランシスコの大震災でした。この時、幼かったドロシーは見たのです。荒廃したサンフランシスコの町で、自然発生的に起こるまるで自己犠牲のような隣人愛を。人は危機的な状況を迎えた時に、これほど慈悲深い心を持って助け合うことができるのだ。そんな感慨は幼かったドロシーの心の奥深いところに刻まれたのです。

その後、ドロシーは熱心な読書家となって、様々な書籍を読みあさりました。そして、そこからロシア文学へと進み、社会的な問題を強く意識するようになったのです。しかし、彼女は一つの考え方に単純に傾倒するような人物ではありませんでした。思慮深く、正直な18歳の少女の心は揺れていたのです。考えに考えた末に、その時に正しいと思った行動をする。それがドロシーのその後の人生の指針になりました。

ドロシー・デイは女性の選挙権獲得ための運動など、女性の権利を拡張するための運動に身を投じるようになりました。1917年、彼女は最初の逮捕を経験します。それから何度となく逮捕・抑留を経験した彼女は次第に、社会主義とキリスト教を結びつけて考えるようになりました。暴力による革命ではなく、無私無欲な立場での戦いを実現しようとしたのです。

ドロシー・デイの戦いが終わることはありませんでした。その自己犠牲と隣人愛は、幼い頃に経験した大震災後の風景から生まれたものでした。幼い頃の経験が彼女の人生を決定付け、亡くなった後も、現代の聖人と呼ばれています。

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