#210「さまざまなワクチンを発明した細菌学者」ルイ・パスツール

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第210話

ルイ・パスツール(1822〜1895)
フランスの生化学者・細菌学者

後世に名を残した偉大な学者でも、学生時代にはそれほど目立たなかったという人は意外に多いそうです。狂犬病ワクチンやニワトリコレラワクチンなどを発明したルイ・パスツールもその一人。パリの高等師範学校に入学して博士号は取得しましたが、在学中、指導教授はパスツールを「平凡である」と評したそうです。

その後のパスツールの活躍を見ると、彼が机上の学問よりも、目の前の課題を解決する実践的な仕事に長けていたことがわかります。まず、キャリアの初期の業績として1857年にアルコール製造業者から「ワインの腐敗の原因を調べて欲しい」という依頼をパスツールは受けます。ここで彼は生物学、微生物学の研究を始め、当時まだ根強かった「生命が自然発生する」という説を否定するにいたりました。

それから数年後、今度は養蚕業の救済にあたります。当時、微粒子病によってカイコがたくさん死んでいました。この研究の途中、パスツールは脳卒中に倒れ、半身麻痺の状態になりましたが、それでも微粒子病の原因を突き止めたのです。それは、カイコの卵に原生生物が寄生することによるものでした。そして、微粒子病を防止を可能にする道を切りひらいたのです。

その後、パスツールは化学の分野でも成果を多く出したあと、医学の分野でも多くの功績を残します。具体的には弱毒化した微生物を摂取することで免疫を得るということを発見し、狂犬病のワクチン開発にも成功しました。

真面目ではあったけれど、平凡だと評されたパスツール。しかし、目の前の課題については根気強く、自分の病にもめげずに解決していきました。その結果、人類を悩ませる感染症にワクチンで対抗するという画期的な解決策を提示することに成功したのです。

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