#263「口汚いけれど平等な経営センスでインテル王国を創った男」アンディ・グローブ

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝263話

アンディ・グローブ(1936〜2016)
ハンガリーで生まれた米国の経営者

グローブはハンガリーで生まれました。ユダヤ系の中流家庭に育ったのですが、ナチスドイツとソビエト連邦がいがみ合う時代に翻弄される幼少期を送りました。特に、ブタペストがソ連によって陥落したとき、母親がソ連兵に陵辱された事件が、一生消えない傷をつくったと言われています。

しかし、グローブは人生を諦めませんでした。20歳の時に単身、アメリカへ亡命。苦学しながらニューヨーク州立大学を首席で卒業し、1968年にインテルに3番目の社員として入社しました。そして、やがてグローブはインテルの社長に登りつめ、インテルを世界有数の企業へと導いていったのです。

彼の経営手腕には様々な評価がありますが、その勘の良さは鋭いモノがあったと言います。彼がまだ若い1950年代のこと、彼は予防接種を受けるときに、たくさんいる医師の中から迷わず黒人医師を選んだそうです。まだまだ人種差別の激しかった時代です。そんな状況の中で医師になった人は特に優秀なはずだ、ということを読んでいたのです。

このようにグローブは、常識にとらわれず、自分の勘と判断を重視して経営手腕を発揮しました。そのため、彼は激しい議論を好んだそうです。互いに意見を言い合い、ときには相手を怒らせながら本音を聞き出し、議論を加速させる。相手を口汚くののしりながらも、異なる意見を尊重したことで、彼は自分が忌み嫌った独裁者には決してならず、平等を重視した経営ができたのです。

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