#270「物づくりのプライドで世界を席巻した男」ジェームズ・ダイソン

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝270話

ジェームズ・ダイソン(1947〜)
イギリスのプロダクトデザイナー・起業家

ジェームズ・ダイソンはイギリスのプロダクトデザイナーであり、ダイソンという名の掃除機を開発したことで億万長者となったダイソン社の創業者です。ダイソンのユニークな点は、これまでにあったものを、これまでになかった発想で新しく作り替えたこと。例えば、手押し車の車輪をボールにかえたり、掃除機をデュアルサイクロン式にして紙パック不要にしたり、扇風機から羽根をなくしてしまったり。ユーザーを驚かせる製品群で大ブームを巻き起こしました。

ダイソンが快進撃を続けた背景には、怒りがありました。サッチャー政権以降、物づくりを見下すかのような階級意識がはびこっていたイギリスの社会で、ダイソンは「物づくりこそが、この国を豊かにしてきたのではないのか!」と怒りを露わにしました。そして、エンジニアを見下すような世の中で、イギリスの復権などあり得ないと考えたのです。もちろん、英国紳士らしく穏やかな微笑みで怒りを隠しながら…。

ダイソンは9歳で父に死なれ、寄宿制の学校に預けられました。そんななかで身体も小さかったダイソンは劣等感に苛まれながら育ったそうです。落ちこぼれだったダイソンですが芸術学校でトニー・ハントと出会ったことで人生が一変します。ハントは構造エンジニアリングの第一人者でした。彼は「まず何をしたいか、どんな素材を使いたいか、実現したいコンセプトはなにかを優先しろ」と教えました。

やがて、物づくりに没頭し始めたダイソンは、「真似されない世界で唯一の製品を作る」「自分で作った製品は自分で売る」という鉄則を学び、実際にそれを実行しました。そして、それは次々と確かな成功へと結びついていきました。そして、現在、ダイソンは母校である王立芸術大学院の学長になりました。そして、エンジニアの地位復権という目標を実現するために尽力しているのです。

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