真空にヒントあり#11 「給食は真空冷却で安全でおいしくなる。」

真空にヒントあり
第11話「給食は真空冷却で安全でおいしくなる。」

学校給食やコンビニの弁当などは、一度に大量に作られることがほとんどです。そんなときに必要になるのが冷却。家庭で調理をしている場合、鍋の料理はすぐに冷めます。しかし、工場で大きな鍋で調理をする場合、温度が下がるまでに長い時間がかかってしまいます。

そうなると、不具合が起こるのですが、どんな不具合かわかりますか?例えば、ちょうど良い具合に出来ている料理の加熱がさらに進んでしまったり、場合によっては雑菌の増殖が進んでしまう場合も。こうなると食品衛生や品質上の問題が発生してしまうリスクがあります。

そこで、加熱して調理が終了したら、速やかに温度を下げる必要が出てくるのです。厚生労働省のマニュアルにも、「加熱調理後、食品を冷却する場合には、病原菌の発育至適温度帯(約20℃~50℃)の時間を可能な限り短くするため、冷却機を用いたり、清潔な場所で衛生的に容器に小分けするなどして、30分以内に中心温度を20℃付近(または60分以内に中心温度を10℃付近)まで下げるよう工夫すること」という表記があり、これが文科省の記述になると「真空冷却機などの設備を備えること」という表記まであるのです。

仕組みとしては、真空冷却機の中に、調理食品を薄いトレーに小分けして何段ものラックで並べます。そして中を真空にすると、水分の蒸発が進み、食品から大量の蒸発熱を奪い、温度を下げていきます。

子供たちに安全で安心な美味しい食事を届けるために、陰ながら真空が頑張っていたのです。

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