真空にヒントあり#17 「真空注型がプラスチック製品の完成度をアップする。」

真空にヒントあり
第17話「真空注型がプラスチック製品の完成度をアップする。」

プラスチック製品は、金型を作ってそこにプラスチックを流し込んで作るというやりかたが一般的です。しかし、金型はとても高価。開発の段階から金型を作って何度も試作をくり返していると莫大な費用がかかってしまいます。そこで、真空注型装置の登場です。

例えば、カブトムシのフィギュアを作るとしましょう。まず、触覚やトゲのついた足を再現した模型を作成、または実物のカブトムシ(亡躯)を用意し形を整えます。この周囲をシリコンゴムでおおいます。固まったらカッターで2つに割り、中の模型または実物の亡躯を取り出します。次にシリコンゴムを元通りに復元、固定します。上部にウレタンやエポキシ樹脂を入れる注ぎ口をあけ、真空注型装置の中にセットします。

いよいよ装置を作動させると、真空ポンプが樹脂の入った容器の中の空気を排気し、樹脂の中から空気の泡が抜けていきます。樹脂の中から空気が抜けたら、これをシリコンゴムの型の中に注ぎ込みます。

シリコンゴムの中も真空になっているので、樹脂は細かな部分にまできれいに入り込む。あとは1時間ほど放置すると樹脂が固まり、装置を大気圧に戻して型を開くと樹脂でできたカブトムシを取り出すことができるというわけです。

真空注型装置を使った方法は、ゴムの耐久性が低いので大量生産には向きません。しかし、金型と違いコストが抑えられるので、試作をくり返すことには向いています。特に自動車業界では、実際の成形品がすぐに見られる、修正がすぐに出来る、ということから新車開発にはなくてはならない技術となっています。プラスチック成形品の製造にはこのほか多くの手法があります。そこでも、真空が多くのサポートをしている、ということをこれからも解説していきます。

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