今回は、いつもの真空のお話とは少し毛色の違ったお話をひとつ。
子どもの頃、知らない間にケガをしていたりすると「かまいたちにやられたあ〜!」なんて言いませんでしたか? 『かまいたち』というのは、もともと日本に伝わる妖怪のことで、江戸時代中期の絵画にも残されているそうです。つむじ風に乗ってあらわれるイタチのような姿をした妖怪で、出会った人は知らない間に鋭い刃物で切られたような傷が出来ていると言います。
この妖怪伝説は日本全国に残っていますが、つむじ風に乗ってくるという伝承のせいでしょうか。知らない間にケガをする『かまいたち』は、強い風による真空状態のせいだと、まことしやかに伝えられてきたようです。しかし、突風などで真空状態が生まれたとしても、それが肌を切り裂くとは考えにくいですね。
ただ単に知らない間にケガをするという不思議さを目に見えない風のせいにしたことで、「かまいたち=真空」という説が支持されたのかもしれません。実際には「風の強い日に、雑草などが肌に当たり裂傷となってしまう」「風の強い日に飛ばされた砂粒などが肌を傷つける」などが本当のところなのかもしれませんね。
どちらにしても、妖怪伝説と真空が結びつけられるなんて面白いお話です。もし、新たな説をお持ちの読者がおられたらぜひご一報ください。