#41 「鉛筆に金色の文字があると誇らしい」

真空にヒントあり

小学校では近頃、鉛筆の良さが見直されているようです。一生懸命に書くと、少しずつ芯が丸く短くなっていく。そして、鉛筆削りでそれを削るとまた書き味が戻ってくる。そんな手作業が子どもたちの脳の発達に良いのだということで、一部の小学校では昔ながらの小型のナイフ「肥後守(ひごのかみ)」で鉛筆を削っているそうです。

さて、そんな普段使いの鉛筆ではなく、ちょっと特別な鉛筆を手にした経験はありませんか。何かで表彰されたときの副賞だったり、記念品として作られた贈呈品だったり。そんな鉛筆には金色の文字が入っていることがありました。いつもと同じ鉛筆なのに、金色の文字が入っているだけで少し高級に見えるから不思議ですよね。

この金色の文字、実は熱転写        箔と呼ばれる技術で作られています。まず、真空によって、黄色のフィルムにアルミを蒸着させます。真空装置のなかに黄色いフィルムを置き、そこにアルミの粉を飛散させるとフィルムにアルミの膜ができるのです。その後、活字を押し当てると、黄色の塗料の部分が転写されます。すると、あら不思議。アルミの銀色を通して、黄色いフィルムが金色に見えるのです。

こうして、子どもの頃のちょっと忘れがたい思い出を真空が作り出しているのだと思うと、もっともっと真空のことを知りたいという気持ちになりませんか。

第41話「鉛筆に金色の文字があると誇らしい」
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