#46 「宇宙の果てから届く重力波を観測する」

真空にヒントあり

重力波とは、時空(時間と空間)の歪みによる波のこと。アインシュタイン博士がとなえた一般相対性理論によると、質量をもった大きな星が存在すると、その星の近くにはそれだけで時空に歪みができるということになります。この星が他の星と合体したりすると、時空の歪みが光速で地球上に伝わってくるということになるのです。これが重力波です。

さて、この重力波が来ると二つの離れた星の距離が伸び縮みします。その伸縮の大きさは非常に小さく、例えば地球と太陽の距離がほんの10-8cm動く程度です。だからこそ、この重力波を観測するためには高度な技術が必要になります。そして、その観測技術にも真空が大きく貢献しています。

重力波を観測するための技術はとても複雑なのですが、わかりやすく説明するとこんな感じです。まず、山の中に巨大な真空のチューブ(約3キロ)を設置。レーザー光をチューブの両端に置いた鏡の間を反射させ、その極めて小さな歪みの変化を観測するという仕組みなのです。

つまり、この歪みを観測することで、重力波が地上に届いたという証明になります。2015年9月14日アメリカのLIGOという観測装置がこの極めて小さな長さの歪みの重力波を観測することに成功しました。2019年末に建設が完了した、日本のKAGURAも新たな重力波の観測も期待されています。

第46話「宇宙の果てから届く重力波を観測する」
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