#53 「鉄は強い。でも、もっと強くするためには真空が必要です。」

真空にヒントあり

鉄は世界の産業を支え、日本の高度経済成長を支えてきました。近代産業の象徴とでもいうべき鉄はいまも私たちの暮らしに欠かせません。では、鉄がそこまで重要な存在である理由は、もちろんその強さにあります。

強いからこそ、鉄は様々なものに使われてきました。都市を形成する巨大なビル群。移動手段として欠かせない鉄道や船、そして自動車。強固な素材として鉄は必要不可欠な存在なのです。つまり、製鉄の歴史はより強い鉄を追い求める歴史だったと言っても過言ではありません。

では、どうすれば鉄は強くなるのか。その答の一つが不純物(炭素)を取り除くことでした。高炉で溶かされた銑鉄が製鋼工場に運ばれ精錬されるわけですが、その過程で不純物を取り除いていけば、純度があがり鉄はより強くなります。そして、その不純物を取り除くために真空脱ガス炉が活躍するのです。

巨大な製鉄プラントの中に真空脱ガス炉を組み込み、製造途中の溶けた鉄、つまり溶鋼を真空状態にします。真空にすることで溶鋼の中の不純物である炭素が低減し、より強い鉄鋼材料が誕生するのです。

第53話「鉄は強い。でも、もっと強くするためには真空が必要です。」

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