#55 「医薬品を運びやすく、保存しやすくする方法」

真空にヒントあり

健康な時にはあまり意識しませんが、体調を崩した時などにお世話になるのが医薬品。実はこの医薬品、一般的に熱に弱い成分が多く、また液体のままというものも少なくありません。しかし、高価で重要な医薬品ですから、これらをできるだけ長く保存する必要があります。そこで、ワクチン、血漿、抗生物質、インターフェロン、各種制癌剤や酵素系試薬などは、低温で乾燥させるという方法がとられています。

具体的には医薬品の液体を並べた棚をマイナス40℃〜50℃に冷却します。その後、真空状態にすることで水成分を昇華し排気。この方法を凍結真空乾燥といいます。凍結真空乾燥による乾燥処理は、1日から2日と時間がかかりますが、医薬品としての成分は数年間保持されるのです。

こうして、真空技術は貴重な医薬品を長期保存し、輸送や流通しやすくなるという大きなメリットをもたらしています。人生100年時代と言われる現代。健康で長生きするための技術革新は、医薬や医学の進歩だけではなく、保存や輸送のためにも続けられているのです。

第55話「医薬品を運びやすく、保存しやすくする方法」
タイトルとURLをコピーしました