#58 「宇宙開発技術を応用して永遠の美しさを実現しました。」

真空にヒントあり

きれいな花をもらって嬉しくない人はいませんよね。だからこそ、人は人生の節目節目で花を贈ったりもらったりするのではないでしょうか。結婚式の時にはたくさんの花に囲まれて披露宴を執り行いますし、その際にお花をいただいて帰ることもあります。

そんな時、「この花の美しさが永遠に続いたらいいのに」と思ったことはありませんか? いつかは散ってしまうはかなさが花の魅力かもしれませんが、それが永遠に続けば良いのにというのも素直な人の気持ちですね。実はそんな夢のような技術があるのです。それを実現したのはもともと宇宙開発に必要な大型の乾燥機を製造していたメーカー。超大型の真空容器を作ったことが、永遠の花の美しさを実現したと言えます。

この会社が生花の乾燥というビジネスに進出した理由には諸説あります。その中でも真空乾燥装置を新規事業として展開していこうと考えていたときに、アートフラワーの先生から染色した布のパーツを早く乾かしたいという要望があったのですが、エンジニアが間違えて生花を乾燥してしまいました。でも、その仕上がりがあまりにきれいだったので、実用化が進められたという話が有力だそうです。

花の美しさは形と色。それを長い間保持するためには真空で乾燥させるだけではなく、最終的にガラスの容器に密閉することで褪色を防ぐことに成功したのです。こんなちょっとしたきっかけから、新しい商品が誕生して、人々の暮らしを豊かなものにしていくというのは面白いですね。そして、人々の暮らしを豊かにしている商品の誕生に真空が大きな役割を果たしているのは嬉しい限りです。いまでは、このガラス入りのお花は色んなメーカーが手がけるようになり、大量に市販されています。

#58「宇宙開発技術を応用して永遠の美しさを実現しました。」

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