#59 「巨大望遠鏡の鏡は、どうやって作ると思いますか?」

真空にヒントあり

日本が所有している望遠鏡で最大のものは、実はハワイにあります。ハワイのマウナケアという山の山頂、標高4,205メートルにある「すばる」です。すばるは1999年に観測を始めた望遠鏡ですが、アルミニウムを蒸着した巨大な鏡でできています。

すばるの鏡の直径は8.3メートル。こんなに巨大な鏡ですが、鏡面の精密さを維持するために十数年に一度、表面の膜をはがして洗浄して、100nmという極薄の膜を再度形成します。この時、真空状態にしてアルミニウムの膜を蒸着させるわけですが、こんな巨大なものをどうやって真空蒸着させるのでしょうか。

実は、巨大な鏡を真空装置の中に入れるのではなく、鏡全体を覆うように上から真空容器を被せるという手法を用いています。真空容器を被せ、そこに真空ポンプをたくさん付けて真空にして蒸着する。なにしろ鏡の部分だけで23トンもあるので、そう簡単に入れたり出したりできませんから。ちょっとした発想の転換が真空蒸着を可能にした例かも知れませんね。

59 「巨大望遠鏡の鏡は、どうやって作ると思いますか?」

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