#69 「汚れた地盤を改良する真空の話。」

真空にヒントあり

様々な対策を施していても、土地が汚染されるということがあります。ほら、つい先日話題になった築地市場の移転。あの時も、移転先である豊洲でベンゼンやシアン化合物などの汚染が報告されました。

そんな時にはまず、汚染された地盤を改良する必要があります。一般的には地盤の中に染みこんでいる汚染物質を水分と共に吸引するという処理をします。土のなかに何本ものパイプを打ち込み、パイプ上部に真空ポンプを設置して、汚染物質を含む地下水を吸い上げます。

しかし、この方法は時間がかかるということで、凍結融解技術工法が開発されています。汚染された地盤には汚染物質と水が混ざっています。その地盤に凍結融解管を何本も打ち込み、そこに冷たい不凍液を流し込んで周囲の土壌を凍結させます。凍結させると汚染物質は凍結融解管の近くに集まってきます。こうして、地盤の中の水分は凍結し、氷と土が分離した状態になります。次に加熱した不凍液を流すと、凍結した水分がなくなり、その場所には無数の穴が残ります。通気性が良くなったところで汚染物質をガス化して吸引するという仕組みです。

実際の豊洲市場での工事の場合は、直前に行われた汚染物調査で、汚染が比較的軽微なものとわかり、これとは別な工法が採用されましたが、汚染源の水を汲み出すときには、やはり真空ポンプによる吸引が不可欠。揚水ポンプや真空ポンプが多用されたのです。豊洲市場の安全と安心を保つためにも真空技術は欠かすことができませんね。

69 「汚れた地盤を改良する真空の話。」
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