#70 「真空を証明して見せたのは、16頭の馬だった。」

真空にヒントあり

古代ギリシャでは、「自然界に真空はない」と言われていました。「自然は真空を嫌う」と考えられていたわけです。1600年代、ゲーリケという人はこんな実験をしました。『鋼製の2つの半球をピタリとあわせて、中の空気を抜くと引き離すことが困難になる。しかし、空気を半球の中に注入すると簡単に離れる』。この実験は成功しましたがゲーリケはなぜ2つの半球が引き合うのかという原因がわかりませんでした。

しかし、トリチェリという学者の実験から、空気に重さがあるということをゲーリケは知ったのです。そして、さらにその謎を解明するために、1654年、レーゲンスブルクの帝国議事堂前で盛大な実験を行いました。なんと、空気を抜いた鋼製の半球を馬の力で引き離そうという実験でした。

結果、半球を引き離すためには左右それぞれに8頭の馬が必要でした。合計16頭の馬が引き合わなければ、半球は離れなかったのです。この実験によって、半球の内部が真空だと大気圧によって球体に圧力がかかるのだということが示されました。真空の威力を見せつけられるような大がかりな実験ですね。

ちなみに、この実験で使用された鋼製の半球はマグデブルグの半球と呼ばれているのですが、その理由は当時、ゲーリケがマグデブルグの市長だったからだそうですよ。

70 「真空を証明して見せたのは、16頭の馬だった。」
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