#86「原子力で発電できるのは真空があるからこそ」

真空にヒントあり

原子力発電というと、その心臓部に原子炉があり、さらにその原子炉の中心に燃料棒と呼ばれるものがあります。原子炉には沸騰水型(BWR)と加圧水型(PWR)とがあり、このうち真空技術が大きく貢献しているのは沸騰水型。

沸騰水型の原子炉は、燃料棒を発熱することで原子炉内に水蒸気を発生させて発電用タービンに送り込むという仕組みです。その燃料棒には、酸化ウラン粉末とガドリニウム粉末なるものを混ぜ固めた小さな粒が装填されており、それを真空下で加熱して乾燥させる必要があります。真空乾燥の後、ガスを充填し上部を封じれば燃料棒の出来上がりです。原子炉にはこの燃料棒が数千本も装填されているのですから驚きですね。

真空が大活躍する沸騰水型の燃料棒は、主に東日本で使われている方式。原子力発電に関しては、その安全性などにいろんな意見があると思います。しかし、稼働させるのであればとにかく安全安心な運営をお願いしたい。そして、そんな大切な技術のなかに真空技術も加わっているのだと思うと、なんだか身の引き締まる思いがします。

86「原子力で発電できるのは真空があるからこそ」

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