#97「真空の力でがんを発見するのです!」

真空にヒントあり

2人に1人が生涯で一度は発症すると言われているがん。すでに国民病と言ってもいいほど身近な病気になってしまいました。しかし、がんも以前のように死の病ではなく、早期発見すれば完治も可能な病気になっているのです。

早期発見のために必要なことは、迅速に正確にがんを判定する技術。がん細胞は正常な細胞の3倍から8倍もブドウ糖を摂取するという性質があります。そんな性質を利用したのが体内にある放射性物質を検知し画像化するPET-CT画像診断装置です。ブドウ糖を放射化した液を注射すると、がん細胞は短時間でブドウ糖を摂取します。そして、その放射線が多く集まる部分を画像化し、がん細胞の位置を特定するのです。

そのブドウ糖を放射化する工程で、真空が使われます。高速電子を真空装置内のブドウ糖に照射することで放射化し、これを体内に入れるのです。しかし、この放射化ブドウ糖は100分程度で半分に減ってしまいます。つまり、100分以内にがん細胞の検出を終えなければならないのです。そのため、迅速でフレキシブルな検査体制が必要になり、この装置の小型化や病院内・病院の近くのクリニックでの設置が進められています。がんの検診という命を左右するところにも真空技術は大きな役割を果たしているのですね。

97「真空の力でがんを発見するのです!」
タイトルとURLをコピーしました