#102「コンビニのレシートは真空がないとプリントできません」

真空にヒントあり

コンビニやスーパーなどのレジでもらうレシート。きっと、みなさんの財布の中にも何枚か入っていますよね。このレシートよく見ると、ところどころ折り目のところなんかが黒くなったりしていませんか。実はこれ、インクでプリントしているのではなく、熱によって紙を変色させ文字を印字しているのです。だから、折り目などに摩擦熱が加わると変色してしまうのです。

感熱紙に発熱ヘッドで印字するというシステムをサーマルプリントと言い、発熱するヘッドをサーマルプリントヘッドと言います。このヘッドはセラミック基板の上にグレーズ(断熱)層があり、その上に電極膜、さらに発熱体膜、ガラス質の超低摩擦保護膜が順に形成されています。

そして、このプリントヘッドのグレーズ層の上の3つ異なる膜をコーティングしているのが真空技術なのです。電極膜や発熱体膜も超低摩擦保護膜もスパッタリング等の真空成膜技術で作られているのです。サーマルプリントのシステムは真空技術がなければ成立しないと言っても過言ではないのです。

スパッタリングをものすごく簡単に言うと、イオン化したアルゴンガスで成膜材料を叩き、材料から衝撃で飛び出した原子を基板などに堆積させてコーティングすること。様々なものに応用されているので、これからもこのコラムで紹介していきますが、みなさんも自分の周囲にあるものを眺めながら、「もしかしたらこれも?」なんて想像するのも楽しいかも知れませんね。

102「コンビニのレシートは真空がないとプリントできません」
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