#108「世の中を進化させているコンピュータの中身の進化の話」

真空にヒントあり

みなさんがこのコラムを読んでいるのはパソコンですか? スマートホンですか? どちらにしてもみなさんがお持ちの端末のなかには様々な情報が蓄積されています。そして、そんな情報を蓄積するために使われているのが記憶装置。これまで、パソコンではハードディスク(HHD)と呼ばれる装置が使用されていました。これが現在では、半導体記憶装置(SSD)に置き換わってきています。SSDはHDDと違い、駆動部分が少ないため衝撃にも強く、情報の読み書きも速いと言われていてさらに普及していくことになるでしょう。そして、HHDにしてもSSDにしても、どちらの製造にも真空技術は欠かせないのです。

まだまだ健在なHHDの場合はケースの中に磁気記録ディスクが入っています。この磁気記録ディスクはアルミ合金の薄い板が磁気記録膜で被われているのですが、そのための技術がスパッタリングです。薄い板を真空状態に置き、そこに磁気記録膜として使用する素材を放出し薄膜を形成します。

長年にわたってコンピュータに不可欠だったHHDですが、どうしてもディスクを読み取るのにヘッドが機械的に接触する必要があります。そこが不具合を起こす要因になったりすることで、書き出し読み取りに機械的な接触のないSSDが主流になりつつあるわけです。そのSSDは半導体そのもの。そして、その半導体は真空薄膜によって作られています。つまり、世の中を進化させているコンピュータの中身の進化は、真空技術によって支えられている、ということなのです。

108「世の中を進化させているコンピュータの中身の進化の話」
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