#110「真空でパンデミックを乗り越えろ!」

真空にヒントあり

新型コロナウイルスによるパンデミックは2021年4月現在、まだまだ収束を見込めるまでには至っていません。変異ウイルスの台頭、人々の自粛疲れ、政府の後手後手の対応などが日々報道されていますが、もっとも強い関心を集めているのはワクチン接種の遅れでしょう。

海外メーカーのワクチンであることから、日本への供給量が制限されていることもあり、医療従事者にもなかなか順番が回ってこない、という現実には呆然とするばかりです。しかも、その主流となっているファイザー製のワクチンに関しては、輸送時にマイナス60℃〜マイナス80℃を維持しなければならないということで、確実な輸送手段の検討が急がれていました。

最終的に輸送温度がマイナス15℃〜マイナス25℃に緩和されましたが、それでも接種会場への搬送をどうするのかが課題だったのです。そこに登場したのが真空断熱式の保管輸送器。日本のメーカーが開発したもので、ドライアイスなどの保冷剤を使って、マイナス70℃以下の状態を最長18日間保持することが可能になったそうです。

ここで役に立ったのは冷蔵庫の省エネのために研究されてきた断熱性能。真空断熱板の技術を駆使して庫内の冷気を逃さないボックスが開発されたのです。これまでの断熱ボックスは、真空断熱板の継ぎ目から冷気漏れが漏れてしまっていたのですが、一体成型することで継ぎ目をなくし冷気漏れを解決。魔法瓶のような仕組みで、真空が中の冷気をより長く維持できるようになりました。

これでワクチンが大量に輸入されてきても安心。しっかりと品質を保持したままで日本各地でワクチン接種が実施されることでしょう。そして、一日も早くマスクをせずに笑顔でみんなが挨拶を交わせる日常が戻ってくることを心から願うばかりです。

110「真空でパンデミックを乗り越えろ!」
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