#122「映画と真空の密接な関係はこれからも続くのです」

真空にヒントあり

映画館の大きなスクリーンで映画を観るのはいいものですね。笑ったり泣いたり、手に汗を握ったり。そんな映画はかつてはすべてフィルムで作られていました。しかし、フィルムは時間の経過と共に劣化します。色が褪せてしまったり、傷が付いたり。そんな大切なフィルムを保存する方法として、様々なものが考えられてきましたが、カビなどの対策も兼ねてフィルムを真空状態で保存するという方法を採用している国もあるようです。

しかし、今の映画はほとんどがデジタルです。撮影もデジタル撮影でデータとして保存。編集もパソコン上で行い、上映もDCP(デジタル・シネマ・パッケージ)という形態にして行われています。フィルムだと高い現像費がかかるため、予算が少ない場合は上映フィルムを用意するだけでも大変でした。しかし、DCPだと複製が容易で、上映館の数だけすぐに用意できます。また、デジタルによる管理で、映画館が1日に何回上映したかがすぐにわかるようになっています。つまり、契約以上の回数を勝手増やして上映するなどの不正防止にも役立っているのです。

というわけで、世界中の映画がデジタルで作られ、デジタルで上映されているということになります。そこで使われるのはハードディスクやフラッシュメモリなどなど。つまり、どれも真空技術なくしては作れないものばかり。古いフィルムの保存にも新しいデジタル映画の撮影にも、真空技術は欠かせないというわけですね。ちなみに、このデジタル全盛の世の中で、フィルムでしか作品を作らないぞ!という監督もいます。それは、『ダークナイト』や『TENET』で有名なクリストファー・ノーラン。彼のためだけにフィルムを作り供給しているフィルムメーカーがあるそうです。真空の世界も映画の世界も、とても奥深いですね。

122「映画と真空の密接な関係はこれからも続くのです」
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