冬のスポーツと言えば、スノーボードやスキーですね。オリンピック競技としても注目を集める花形競技になりました。さて、そんなスノーボードやスキーで大切なことは、いかに快適に板を滑らせるのかということです。これらの板は樹脂で作られています。樹脂で作られた板の表面には小さな無数の隙間があり、この隙間にワックスを染みこませることで滑りを良くしてきました。
ワックスを塗るためにはアイロンでワックスを溶かしながら塗る、という作業を行うのですが、長期間行っているとだんだん板の表面が毛羽立ってしまいます。こうなると、毛羽だった部分を削るという作業を何度も繰り返さなくてはいけません。
もっと手軽に、もっと確実にワックスを塗り、板を長持ちさせる方法はないだろうか、と考えた結果、減圧ワクシング装置を開発した人物がいます。しかも、この装置を思いついたきっかけが野菜の浅漬けの作り方だったというから驚き。野菜の浅漬けをつくる時に、容器のなかの空気を抜き、真空にすることでタレを染みこませていることを知って、これをスノーボードやスキーの板に応用したのです。
スノーボードやスキーの板が入る装置を用意して、その中に板をセットします。加熱するとワックスが溶け液状になります。ここで容器のなかを真空にすると板の隙間の空気が抜け、そこに液化したワックスが隅々にまで染みこんでいく、という仕組みです。浅漬けづくりからヒントを得て、若者に人気のスノボーの滑りをよくする装置を開発するなんて本当に面白いですね。