#160「原子力発電は真空状態で効率アップ」

真空にヒントあり

SDGs(持続可能な開発目標)という言葉が注目されたのは、2015年9月の国連サミットでした。そこで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、同時に2030年までの国際目標として、SDGsが掲げられたのです。「Leave No One Behind(地球上の誰一人として取り残さない)」を誓いながら、より良い世界の実現に向けて、取り組みが始まっています。

そんなSDGsの目標のなかに「みんなにクリーンなエネルギー」があります。世界中の人たちにとってクリーンであるということは、CO2の排出を極力抑えるということを意味します。その点、原子力発電は火力発電に比べてクリーンなエネルギーということが言えるでしょう。もちろん、事故などが起きない安全な運用が最優先ですが、数値を客観的に見れば原子力発電はクリーンなエネルギーとして大きな選択肢の一つだと言えます。

では、原子力発電の仕組みを簡単に振り返ってみましょう。まず、原子炉のなかでウランが核分裂を起こします。この時に出る熱で水を沸かして蒸気を発生させ、その蒸気でタービンを回すのです。こうすることで、連結している発電機が発電します。この時、タービンで仕事を終えた蒸気を水に戻すのが復水器。蒸気が水になるときに体積が減ることによって高い真空状態をつくることで蒸気の流れが良くなり、タービンの効率が高くなります。つまり、SDGsの目標である「みんなにクリーンなエネルギー」を実現するために、真空技術が活かされているのです。

160「原子力発電は真空状態で効率アップ」
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