#167「真空を利用しておいしく解凍、冷凍食品」

真空にヒントあり

気候が暖かくなると生鮮食品の傷みが気になりますね。そんな時に便利なのが冷凍技術です。以前、食品を冷凍する際に、真空技術を用いるというお話しをしました。真空状態にして水分などを飛ばすことで冷凍食品の日持ちを良くするという技術。そして、今回お話しするのは、逆に冷凍してある食品を常温に戻す時にも真空技術が活かされているんですよ、というお話しです。

紹介したいのは真空蒸気解凍装置です。このマシンは、冷蔵庫のような大きなドアを開けて中に冷凍された肉や魚などの食材を入れます。そして、冷凍食材を入れた庫内から空気を抜いて真空にします。この中を蒸気で満たすと飽和蒸気圧という状態になります。少し難しい言葉ですが、この状態になると水蒸気が食品全体を覆い、均一に食品を解凍できる、ということだけ覚えてください。真空なので空気が解凍の邪魔をせず、通常の10倍の速さで解凍できる仕組みになっているのです。

この方法で解凍すると、作業が効率化・高速化できます。さらに食品の肉質や光沢、香りの劣化が最低限に抑えることができるのです。実際に肉を解凍したときに出る液体(ドリップ)がほとんどありません。また、真空下での解凍なので食材の酸化がほとんど無く、細菌の発生もありません。その品質や衛生面での優位性からも真空蒸気解凍装置は広く注目され需要の増大が予測されています。

167「真空を利用しておいしく解凍、冷凍食品」
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