#170「アナログレコードの迫力ある音でライブの感動を再び!」

真空にヒントあり

夏になると野外の音楽フェスが増えますね。あちらこちらの音楽フェスを渡り歩くという人も多いようです。野外フェスの醍醐味と言えば、やっぱり身体に響く重低音とアーティストと一緒に声を出す一体感。スマートフォンで音楽を再生して、イヤホンで聴いていたのではあの迫力はなかなか体験できません。そう思う人が増えたのか、実はアナログレコードの人気が再燃しています。古いレコードばかりではなく、アーティストたちも新譜のアナログレコードを限定発売することが多くなりました。

デジタル化された音楽信号は人間の聴覚が聞き取れる範囲をしっかりと収録しています。それなのにアナログレコードのほうが「いい音だ」という人が多いのです。それは、アナログレコードが人間の聞き取れない範囲の音まで収録しているからだと言われています。聞き取れないはずの音を人が聞き取り、それを音の厚み、揺らぎのように感じることが出来るのです。

ただし、アナログレコードにも欠点があります。それはターンテーブルにセットされたレコード盤とピックアップ部分が直接触れあうこと。具体的にはポリ塩化ビニールのレコード盤に掘られた音の溝を、ダイヤモンドで出来た針がなぞることで音が出るのですが、直接触れることで少しずつレコード盤が摩耗してしまうのです。

そこで登場したのがレコード盤の表面をモリブデンという素材の薄膜で覆う技術。スパッタリングという真空技術を使って、モリブデンの薄膜を施されたレコードは表面の硬度が30倍、摩擦力が半分以下になり、アナログレコードの寿命が飛躍的に伸びたのです。

すでにデジタル配信が主流となった現代において、聞いているうちに音が劣化するアナログレコードは、若い人たちにとってそれだけで魅力的です。でも、せっかく買ったアナログレコードなのだから、できる限り長くきれいな迫力ある音で楽しみたい。そんな贅沢な悩みに、この真空を使った新しい技術はピッタリはまったようですね。

170「アナログレコードの迫力ある音でライブの感動を再び!」
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