#178「真空で手軽に楽しむ現代アート」

真空にヒントあり

芸術の秋。美術館に出かけたり、時には自分で絵を描いてみるのもいいですね。でも、最近では3Dプリンタなどで複雑な造形物を手軽につくる人も増えました。ただ、3Dプリンタにしても、パソコンや3Dアプリのスキルは必要です。そんなハードルのためにアーティスティックな才能が形に出来ないのは嫌だ、ということで海外のメーカーが創り出したのが家庭用の真空成形機。コピーしたいものをマシンの台の上に置くだけでプラスチックの造形物が作れます。つまり、コーヒーカップを複製したければ、実物のコーヒーカップをマシンの上に置くだけで、3DCADソフトなしで高度なプラスチック造形が実現します。

真空成形機はもともと産業界では普通に使われてるもの。プラスチックなどのシートを加熱して、空気圧で型に密着させ、立体成型するマシンのことです。フィギアなどの玩具の他、歯ブラシなどのプラスチックのパッケージを製造するのにも使われています。これを家庭用の卓上型にしたところが、この海外製品のポイントですね。家庭用と言いつつ、業務用の真空ポンプとヒーターを内蔵しているので、プロレベルの真空成形ができるようになっています。

素材も様々なものを使えるので、仕上げを考えながら創意工夫が可能。例えば、同じような形の石を数多く複製して並べるだけのコンセプチュアルアートも良いかもしれません。世界の現代アートは、シンプルでコンセプチュアルなものが増えているからこそ、このマシンはクラウドファンディングでも順調に資金調達を成功させているのでしょう。また、世界数カ国ですでに安全認証も受けているようなので、間もなく市場に出てくるようです。この画期的な真空成形機が世の中のアートをどんなふうに変えて行くのか楽しみですね。

とは言え、まだまだ数十万円という価格設定なので、気軽に購入というわけにはいきません。でも、こんなに手軽な真空成形機が手元にあればと空想を巡らすのは楽しいかもしれません。そして、そんなイマジネーションをふくらませている間に、また別の真空活用方法が浮かんできたら、ぜひご一報ください。一緒に何か新しい何かを生み出せるかもしれませんね。

178「真空で手軽に楽しむ現代アート」
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